知りだすとキリがない文房具の世界:栗﨑進之介さん

くらし

国富町本庄にある居酒屋 大ちゃんと横山理容の間の路地を入った所にある文房具屋さん「絋洋堂」2代目の栗﨑進之介(くりさき しんのすけ)さん。

全く経験のない、文房具の世界に飛び込むまでの経緯や、今後について聞いてみました。

 

パソコンと作業着

栗﨑さんは、大宮高校を卒業後、大阪の専門学校に進学し、パソコンのシステムやプログラムについて学びます。

当時は、Windows98が主流で携帯電話もあまり普及していなかったため、現在のようにホームページがある企業も少なく、情報が集めるのが困難だったそうです。

就職先を探している時に、とある印刷会社の業種に興味を持ちます。

「印刷オペレーター」

オペレーターという肩書きから、栗﨑さんは印刷機器のシステム管理やプログラム等をメインにおこなう業種だと思い、入社を決意。

試験合格後、印刷会社の担当者から、

「服を靴のサイズを教えてください」

との連絡がありました。
何をするのか質問すると、

「作業着を注文するからです」

パソコンを前に作業着を切る必要があるの?と疑問を感じたそうです。

オペレーター=システム管理

想像していた業種と違うんじゃなかろうかと不安を感じつつ、栗﨑さんは会社に向かいます。
案の定、印刷オペレーターとはパソコンを使ったシステム管理やプログラミングとはかけ離れた業種でした。

ひたすらプリンターの前に立ち、印刷した紙面をまとめパレットに運ぶという仕事。
入社早々、理想と現実のギャップに悩むこともあったそうです。

中途半端で帰れない

4年間、印刷会社で仕事を続けた栗﨑さん。
すぐに仕事を辞めなかったのには、1つの理由がありました。

それは、仕事を知りもしないで辞めたくないということ。

気づけば仕事が楽しくなり、4年後には、印刷工程を任せられる機長にまで昇進します。

そんな栗﨑さんは、自身のお子さんについても

「何でも好きなことをやってもらいたいけど、中途半端で投げ出すようなことは許さない」

と、口にします。

まずは資格取得

印刷会社に入社して3年が経った時、実家のお父さんから電話があります。

「帰ってこないか?」

いつかは家業を継ぐのであろうと幼少期から思っていた栗﨑さん。
翌年、地元国富町へ帰郷。

すぐに父と仕事を始めずに、栗﨑さんが向かったのは職業訓練校。
改めて勉強をし、資格を取得しようと考えたのです。

絋洋堂での仕事は、配送や営業などの外回りはもちろん、伝票処理などの事務処理も多い。
職業訓練校でエクセルやワード、簿記の資格を取得し、いよいよ絋洋堂での仕事が始まります。

カタログとにらめっこ

会社に行って、まず栗﨑さんが行ったのは倉庫にある文房具とカタログを照合する作業。
一言に文房具と言っても、とてつもない種類があります。

同業社はもちろん、代表を務める栗﨑さんのお父さんですら、全てを把握することは困難だろうと言います。

栗﨑さんは、1つでも多くの文房具を覚えようと、仕事の合間を見ながら毎日のようにカタログ片手に倉庫にこもり、種類やロット番号を照合していきました。

日々変化する文房具

文房具が流行などにより、日々変化しているのは一般の方でもご存知のことかと思います。

絋洋堂にも、数ヶ月に1回ほど文房具メーカーから「新商品が出ました!」との連絡があります。

文房具の全てを把握できない理由はコレ。
覚えたかと思ったら、すぐに新商品。

売れなければ廃番になり、リニューアルすれば商品コードも変化する。
倉庫の中には、専門の人が見ても用途さえ分からない文房具が眠っていることもあるそうです。

心のよりどころは やっぱり…

2012年に結婚した栗﨑さんには、奥さんとの出会いに、ちょっとした恥かしいエピソードがあったそうです。

初めて奥さんと対面する日の前夜、地元消防団の飲み会で深酒していた栗﨑さんは、ベロベロの二日酔い。

奥さんの曇った表情を見た栗﨑さん。

「やってしまった…」と後悔し、後日改めて食事にお誘いしたそうです。

今では2人のお子さんを授かり、子供の寝顔を見ている時が一番幸せだと語る栗﨑さんから笑みがこぼれます。

 

個人でも気軽に利用できる

日頃から、町内の学校や企業などに文房具の納品をしている栗﨑さんは、訪問先で質問されることに疑問を感じることがあるそうです。

「この文房具を個人的に買うことはできますか?」

絋洋堂は、法人対象の文房具屋さんという訳ではありません。
お店では、いつでも手軽に文房具を購入することができます。

「個人宅でも配達するよ!」

買い物に行けない方や、職場に届けて欲しいという個人のお客様。
もちろん来店されるお客様など誰でも気軽に声をかけて欲しいと栗﨑さんは口にします。

以前は本庄の街中だけでも5・6店舗あった文房具屋さん。
現在、本庄で営業しているのは鉱洋堂くらいだと言います。

どこでも誰でも手軽に売買ができるようになった今の時代だからこそ、人に会うことを大切にしている栗﨑さん。
今後は、文房具に付加価値をつけたサービスの提供も検討しているそうです。

気になる文房具があれば、カタログだけでも取り寄せられるそうなので、お気軽にお声かけください。

文房具だけでなく、机などの事務用品を扱っている鉱洋堂のこれからを担う、愛されキャラとの出会いでした。

 

 

 

有田 匠興

宮崎県国富町出身・在住の地域ライターです。 「国富町を通過点から目的地へ」 というテーマのもと、国富町で働く人たちを取り上げ、発信していきます。

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