地元の農業に自分だからできる付加価値をトッピング:日髙誠さん

クリエイター

国富町北俣在住のイラストレーター日髙誠さん。
物心ついた頃から絵を描くのが大好きだったという日髙さんは、佐土原高校の産業デザイン科でデザインの基礎を学びました。

大阪のデザイン専門学校卒業後、フリーのイラストレーターとして大阪、東京と活躍の場を広げる。
40歳になる年に地元国富町の八代北俣にUターンした日髙さんに、これまでの経緯や転機となった出来事、国富町の生活などについて伺いました。

ルーツとなった50冊のノート

小さい頃から暇さえあれば絵を描いていたという日髙さんに、当時の様子を伺うと、

将来は漫画家になりたいと思って、小学生から中学生まで1つの漫画を描いていました。
タイトルは「忍者伝説」。
実家の整理をしていた時、10冊だけ原本を見つけました。

改めて読み返すと漢字は間違えているし、ストーリーも散らかっていて恥ずかしさもあったのですが、初心を思い出して懐かしい気持ちになりましたね。今でも絵を描くことが好きという気持ちは変わっていませんので、これからも好きなことを続けていきたいと思っています。

都会で味わった挫折

大阪の専門学校時代におこなっていた活動について日髙さんは、

当時は、路上で似顔絵を描いて販売していたのですが、なかなか思うように売れませんでした。
その時仲良くなったデザイナーやイラストレーターの仲間たちには有名な方も多く、実力差を突きつけられた。

人気のある仲間は、どんどん東京へ進出していき、なんだか自分だけ置いていかれたような感覚になり自身も無くし、何かから逃げるように毎日遊び明かしました。
あの時は、自分でもどうしたら良いのか分からなかった人生の闇になる部分かな(笑)

仕事として絵を描く

では、なぜ再び絵を描くようになったのか?
きっかけについて伺うと、

30歳目前で、当時お付き合いしていた女性から、「あなたには未来が見えない」と言われたとき、さすがにヤバイと思いましたね(笑)
バイト仲間と共に大阪から東京に移住し、あえて厳しい環境に身を置こうと考えたのです。

東京で絵を描きながらバイトするという生活をしていると、大阪の頃からの仲間で恩人でもある「MAD BARBARIANS(マッドバーバリアンズ)」に声をかけてもらい、東日本大震災のチャリティープロレスのTシャツをデザインさせていただくチャンスをいただきました。

錚々たるメンバーの中で、唯一無名のイラストレーターとして関わり、記者会見まで参加。
この経験がイラストレーターとしての自分自身を飛躍的に成長するきっかけになりました。
制作を進める中で、MAD BARBARIANSに指摘されたのが「イラストを仕事として考えること」。それまでの僕は、とにかく自分が好きなものを描いているだけで、お客様のことなど考えたこともありませんでした。

「この絵の魅力が分からないお客さんが悪い」と、尖りまくっていましたね(笑)
これまでの価値観を一度取り払い、お客様が求めるデザインにするため猛勉強。
すると、それまで売れなかった自分の作品が見事に売れるのです。自分の作品に自信を持たせてくれる大きな経験になりました。

それからは、たまに自分の世界に入ってしまうこともありましたが、お客様目線の作品というものを意識しながら絵を描き続けています。
あの時、苦言をもらえたおかげだと思うのでMAD BARBARIANSを含め、仲間のみんなには本当に感謝しています。

実家の農業に自分しかできない付加価値を

東京でイラストレーターとして活躍されていた日髙さん。
地元国富町に戻ってくるきっかけについて伺うと。

子育てする環境としても良いと考えて戻ってきました。
また、以前から実家の農業について弟からも相談があり、気になっていたということもありますね。

キュウリやゴーヤなどを栽培しているのですが、特に悩んでいたのは黄色いトマト。
10年ほど前から父が栽培しているのですが、なかなか思うようには売れ行きが伸び悩んでいたそうです。

そこで今更、無農薬など流行りに乗ろうとしても難しいと思い、自分にしかできない付加価値を付けて販路拡大を狙いました。
それは、「黄色いトマト+イラスト」。

パッケージなどに力を入れ、今あるものをありのまま活かすことで、少しずつ販売先が増えています。
黄色いトマトの販路拡大には、地元の方の協力も大きかったです。
ワンダーランドさんや国富製パン所さんにも卸させていただき、ワンダーランドさんではピザ、国富製パン所さんではトマトジュースとしてもご利用いただいています。

売り込みが得意な方ではなかったのですが、お2人とも話をすると快諾してくれ、いろんなアドバイスやアイディアをくれたのが本当に嬉しくて自分の自信にもなった。
この、“人と繋がりやすい”というのは、地域ならではだと思うので戻ってきて得られた大きなメリットだと思います。しかも、みんな優しいですよね。

トマトの生産が2月〜6月頃までなので、関連商品については、期間限定の販売にはなりますが、是非一度味わっていただきたいです。

人を巻き込める人間が地域を盛り上げる

イラストレーターという職の傍、農業もこなす日髙さんに今後の展開を伺うと、

イラストの仕事は、もちろん続けていきたいのですが、やはり実家の農業をもっと売上拡大に向けて頑張りたいと思います。
人との関わりはもちろん大切にしていきたいですし、パッケージやブランド化も進めていきたい。また、これまでお世話になった方々への恩返しとして、次の世代を巻き込める人間に成長したいとも考えています。

自分が受けた恩恵を次の世代にもしてあげることで、町全体が活気付くと思うので、とにかく自分にできることを襷として繋いでいく。
それが結果的に、生まれ育った町にも恩返しすることにもなると信じて、これからも自分にできることを頑張りたいと思います。


イラストと農業で地域活性化を図る日髙さん。
国富町のイラストレーターとしての活躍はもちろん、生産者としての日髙さんからも目が離せません。

有田 匠興

宮崎県国富町出身・在住の地域ライターです。 「国富町を通過点から目的地へ」 というテーマのもと、国富町で働く人たちを取り上げ、発信していきます。

プロフィール

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